君と始める最後の恋
「…わかりました。」

『ん、沙羅に代わって。』


 類くんの言葉通り沙羅さんにスマホを返すと、ほんの少し会話をして電話を切った。

 沙羅さんは電話を切って「迎えに来させるのもあれだから、郁ちゃんうちで泊めようか?って聞いたら却下されちゃった。」なんて言って笑っている。


「お、泊まり、ですか?」

「気のせいかもだけど、帰りたくないんじゃない?郁ちゃん。」


 確かに帰りたくないとまでは思っていなかったけど、今のこのモヤモヤした感情のまま類くんとは会いたくなかった。

 お泊まりは凄くありがたい提案だった。


「にしても”俺が迎えに行くまで、郁見張ってて”だって。大事にされてるね~、郁ちゃん。」

「そうなんです、そうなんですけど。」


 大事にされているなというのはもちろん分かってる。

 だけど仕事の関係で良いとか言いながら上原さんと凄く仲良いし、でも仲良くしないでなんて言えるわけない。

 どうして私ってこんなに面倒なんだろと再び自己嫌悪に陥った。

 洗い物が途中だったのを再開させて、ひとまず片付けた。
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