君と始める最後の恋
3人の日常
──────────3年後


「パパー!起きてください~!」


 類くんにそっくりな顔をした紬が、ベッドにうずくまっている類くんの上にドーンッと乗っかっている。

 3歳になった紬はよく話すしパワフルで活発。
 本当に愛らしいけどその分類くんは結構振り回されている。

 アタックされた類くんは顔を顰めて、ゆっくりと目を開いた。


「紬…、優しく起こしてって何回言ったらわかんの。」

「だってパパ優しく起こしても起きないでしょ。」


 3歳の娘に言いくるめられている類くんは何だか可笑しい。

 寝室からそんな声が聞こえてきて、朝から少し笑ってしまう。
 笑っていると、類くんは紬を抱っこして寝室から出てきた。

 眠たそうな表情をしている類くんと目が合う。


「おはようございます、類くん。」

「おはよ、郁。」


 相変わらず2人共変わらず名前呼びで、この挨拶だけでも浮かれられるくらいには当たり前に毎日顔を合わせられるのが嬉しい。


「パパ起こすミッションクリアしました!」

「ご苦労様。次は早くご飯をたべるミッションが来てるよ!」

「了解であります!」


 ビシッと敬礼しながら席に着く紬。

 最近はミッションとか、そう言うのがアニメの影響で好きみたいで、影響を受けては何にでもなりきる。
 時々ごっこ遊びもするけど、類くんもそれに付き合わされている。

 結婚してすぐの頃はそう言うのやる人だとは思わなかったけど、愛しい娘の為には何でもやるらしい。


「紬、トマト。」

「…ここ腐ってる。」

「腐ってないから食べろ。」


 類くんと隣に座った紬は相変わらずトマトが嫌いで残して怒られている。そんな2人も可愛い。
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