君と始める最後の恋
──────────数時間後


 志織ちゃん達のお宅に三人でお邪魔すると、紬はお菓子とジュースを食べて大人しくしていた。

 既に遊びまわった後で疲れていると言うのもあるけど、この間に大人達も少し休憩して、ゆっくりお茶をする。


「というか郁さん知ってます?一ノ瀬さんのデスク状況。」

「小川。」


 小川くんが何かを話そうとして類くんが牽制をしていた。

 デスク状況なんて会社に行かない私が知る由もない。

 志織ちゃんもその話の内容に思い当たる節があるのか口元を緩ませている。

 類くんの方を見ると頬杖を付きながら少し不機嫌な顔をしていた。


「パソコンのデスクトップの背景、紬ちゃんなんですよ。意外じゃないですか?」

「え、何その話尊い。詳しく。」

「聞かなくて良いから。」


 デスクトップの背景が紬か~…、めちゃくちゃ良くない?

 紬の事大好きなのは伝わるけど、何かの背景を人物にしたりするのは見たことない。そんなことする人だったのかと、意外だった。


「…郁先輩、一ノ瀬さんのスマホのホーム画見た事あります?」

「え?」

「水無月さん、黙ってて。」


 類くんが少しだけ顔を赤くしてそう言うと志織ちゃんは可笑しそうに笑っていた。

 何か、私の知らないことを後輩2人が知ってるの何で?
 私も知りたいのですがと圧を類くんに掛けても、全く気にする様子は無い。
< 419 / 426 >

この作品をシェア

pagetop