君と始める最後の恋
 車が少し走り出して数十分後、到着して来たのはリバーウォークでその通りをゆっくりと2人で歩いていた。夜少し遅いだけあって人はいない。

 少し歩いてから、立ち止まって2人で並んで川の音を聞きながら眺めていた。

 本来なら川に反射する建物などが写って綺麗だななんて感想を抱くのかもしれないけれど、正直それどころではなくて何を言われるのかヒヤヒヤしている。


「今日、式に来るまでは結構自分の気持ちの事で不安だったんだけどさ、意外と平気だったんだよね。
沙羅の姿見ても何も思わなかったわけじゃないし、好きだって自覚した時に気持ちを伝えておけばよかったなとか色々過去の事は後悔してるんだけど。」

「平気、ですか?」

「うん、まだ好きだとも思う。でも…、結構純粋な気持ちで兄さんと沙羅の事祝福出来てて、自分でも少し驚いたくらいには平気だった。」


 確かにそう話す先輩の表情はすごく柔らかくて声も優しい。嘘ではないのがよく伝わってくる。それに、義姉さんと先輩が呼んだ瞬間は私にも来るものがあった。


「君のおかげなの、分かってる?」

「へ、何で私。」

「…分かってないならそのうち理解して。」


 そう言って私の元から少し離れるように先を歩き始めてしまう。

 どういう事…?全く意味がわからない。
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