君と始める最後の恋
後輩2年目
 時は経って春、4月1日。

 私がこの人の補佐になって1年が経つ。今頃また新入社員が入社式を行っている頃だと思う。

 昨年、入社式で営業部の営業2課に配属された時は驚いた。私が営業?なんて思ってたら補佐だったわけだけど。

 変わらず私のデスクは先輩の隣で、今もずっと尊敬していて大好きな先輩が隣にいる。私達の関係に進展はない。

 恋をして後もう少しで1年が経つんだな。と、しみじみとしていると、「1回作業止めて~」と課長の声で、2課の人間が手を止めて前を向いた。

 課長の隣には2人の新人が並んでいる。男女1人ずつで、女性社員はキラキラして希望とやる気に満ち溢れた表情をしているけれど、男性社員は特に浮かれる事も無く、クールな印象だった。


「水無月《みなづき》 志織《しおり》です!一生懸命頑張ります!」

「小川《おがわ》 隼《しゅん》です。」


 周りがそれだけ?と言う様な反応をしたものの、課長がまた指導係をという話を始める。昨年の先輩もこんな感じだったんだ。

 私と先輩は指導関係ではなくなったものの、担当と補佐なのは今年も変わらない。補佐の仕事も何とか少しづつ慣れてきて、ミスは減りつつあったものの、まだまだだと感じていた。
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