俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
当の牧村さんは、翔さんの勤める親会社から二度目のクレームが入り、厳重注意を受けたと聞いている。
さらにその際の聞き取りから、管理職との不倫も発覚している。その対価として、完全に思うままにとまではいかないが、シフトや搭乗する便の融通をきいてもらっていたようだ。事前に著名人の搭乗がわかっていた際、そのフライトの担当になるようにしていたのではないかという憶測まで飛び交っている。
さすがにそちらもお咎めなしとはいかず、処分の決定を待つまでの間はしばらくの謹慎を言い渡された。
しかし、これまで職場でずいぶんと幅を利かせていた牧村さんにとって罰を受けるのはプライドが許さなかった。謹慎を言い渡されたその場で、退職を選んだと聞いている。
職場に到着し、雑念を振り払って業務に就く。
ここのところ何回かあったことだが、無線で応答しているのが私だと気づいたRAJのパイロットが『結婚おめでとう!』なんて言ってくれる。少し気恥ずかしいが、もちろんうれしい。
私の添えるひと言に癒されると翔さんが話していたけど、こうして声をかけられる側になって初めてそれを実感する。私にとっては顔も名前もわからない相手だが、気にかけてもらえるのは幸せなことだ。
仕事上がりに、シフトが一緒だった梓とファミレスに向かう。もう遅い時間帯だが、帰っても翔さんがいないと思うとなんとなく寂しくて彼女の誘いに応じた。
「椎名さん、帰りは数日後なんでしょ? 普段もすれ違い気味だろうし」
「まあ、もう少し一緒にいられたらとは思うけど。でも、仕事だしね」
「仕事が第一っていうのはブレないのね」
梓がうんうんとうなずいた。
さらにその際の聞き取りから、管理職との不倫も発覚している。その対価として、完全に思うままにとまではいかないが、シフトや搭乗する便の融通をきいてもらっていたようだ。事前に著名人の搭乗がわかっていた際、そのフライトの担当になるようにしていたのではないかという憶測まで飛び交っている。
さすがにそちらもお咎めなしとはいかず、処分の決定を待つまでの間はしばらくの謹慎を言い渡された。
しかし、これまで職場でずいぶんと幅を利かせていた牧村さんにとって罰を受けるのはプライドが許さなかった。謹慎を言い渡されたその場で、退職を選んだと聞いている。
職場に到着し、雑念を振り払って業務に就く。
ここのところ何回かあったことだが、無線で応答しているのが私だと気づいたRAJのパイロットが『結婚おめでとう!』なんて言ってくれる。少し気恥ずかしいが、もちろんうれしい。
私の添えるひと言に癒されると翔さんが話していたけど、こうして声をかけられる側になって初めてそれを実感する。私にとっては顔も名前もわからない相手だが、気にかけてもらえるのは幸せなことだ。
仕事上がりに、シフトが一緒だった梓とファミレスに向かう。もう遅い時間帯だが、帰っても翔さんがいないと思うとなんとなく寂しくて彼女の誘いに応じた。
「椎名さん、帰りは数日後なんでしょ? 普段もすれ違い気味だろうし」
「まあ、もう少し一緒にいられたらとは思うけど。でも、仕事だしね」
「仕事が第一っていうのはブレないのね」
梓がうんうんとうなずいた。