俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
「それとも、君の場合は交際相手はいらないが体は満たされたいとでも?」

「と、とんでもないです。私も、そんなのは絶対に無理ですから」

 誤解されてはかなわないと、顔を熱くしながら必死に首を振って否定した。

「とはいえ、両親からの結婚の催促には苦しめられているのは事実なんだ」
「……はい」

 結婚の催促なんて頻繁ではないからと、以前は適当に躱せていた。

 でもここ最近は、親の本気度を感じる。ごまかしも言い訳も通じづらくて、対応する私の疲労も大きい。はっきり言って、ストレスになっている。

 だからこそと正当化してはいけないけれど、親の愚痴をこぼすときは誇張しがちになる。もちろん誰かまわずではなくて、同じ境遇にある梓限定だ。

「今は仕事に専念したいから、交際も結婚も積極的ではない?」

 椎名さんに確かめるように問われて、きっぱりとうなずいた。

「そんな気は、まったくないです」

 私を心配する両親の気持ちもわかるから、応えられない心苦しさはある。半面で、それを迷惑に感じてしまうのも事実だ。

 この会話はいったいどこに行きつくのだろうと疑問を抱きながら、両親の顔を浮かべた。

 とくに母は、私が安定した仕事を続けるよりも結婚することを強く望んでいる節がある。

 今のところ強制的にどうこうしようという様子はないけれど、年々しつこくなってきた現状から、そのうち今よりさらに踏み込んできそうだと予想している。

「それなら、ちょうどいい。俺と結婚してくれないか?」
「え?」

 ほかへ飛んでいた思考が、強引に引き戻される。
 とんでもない発言が飛び出した気がしたけれど、と彼を凝視した。

「今、なんて?」

「なんだ。一世一代のプロポーズを聞き逃すとは、大した度胸だな」

「プ、プロポーズ……って、えっ!?」

 思わず声をあげそうになって、慌てて口を押える。

「俺と結婚してほしい」

 椎名さんの真剣な表情からは、冗談だとかからかっているとかそういう雰囲気はまったく感じられない。
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