俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
 早番と遅番の勤務に二日ずつ入り、休日を迎える。予定通りなら、翔さんは今日の夕方頃に帰ってくるはずだ。

 家主が不在でなんとなく後ろめたくはあったものの、この部屋に来た日から五日間も経って気も緩む。帰宅したときなんて、『ただいま』と無意識に口にしていたくらいだ。自分の順応力の高さに驚いた。

 午前中に家事を済ませて、リビングのソファーに座ってぼんやりとテレビを眺める。

 翔さんが帰ってきたら、いったいどんな生活になるのだろうか。
 昼を過ぎた頃から幾度となくそんな想像をして、次第に緊張が高まっていく。なにかをしていないとまったく落ち着かないのに、なにをしても集中できない。

 どうしようかと考えて、自分の夕飯を作るついでに翔さんの分も準備しておこうと思いついた。
 なにも約束はしていなかったから、念のために翔さんにメッセージを入れておく。
 手の込んだ難しいものは無理だけど、料理は嫌いじゃない。気分転換にもなるし、家事の中では好きな方だ。

 メニューを考えながら、買い出しに出かける。外に出るとだんだん楽しくなってきて、鼻歌まじりに食材を選んでいた。
 恋愛からはずいぶん遠ざかっていたし、誰かのために手料理を振る舞うなんて本当に久しぶりだ。

 買い物を終えると、弾む足取りで帰宅した。
 エプロンを着けて、早速キッチンに立つ。
 
 メインは煮込みハンバーグに決めた。栄養のバランスを考えて、複数の野菜やキノコ類も一緒に煮込んでいく。出来上がるまでの間に、スープとサラダも用意した。

「できた!」

 味見をしたところ、なかなか美味しくできていた。
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