俺様パイロットは容赦なく愛を囁き偽り妻のすべてを奪う
 ジャケットを握りしめたまま、コクリと小さくうなずく。
 それを感じ取った翔さんは、髪に口づけた後に立ち上がって私を抱き上げた。

「きゃぁ」

 突然横抱きにされて、慌てて彼の首筋に腕を回す。その反応をくすりと笑いながら、額に瞼に口づけながら寝室へ歩いていく。

 ベッドに座らされ、その隣に翔さんも腰を下ろす。

 恥ずかしくて彼の方を見られない。もうずっと恋人がいなかったから、少し怖さもある。
 うつむく私をなだめるように、翔さんが繰り返し髪をなでる。そうしながら、髪や顔に優しく口づけていった。

 わずかに緊張が解れたところで、顎を掬われる。そっと顔を上げると、一瞬視線を合わせた彼は瞼を閉じて顔を近づけてきた
 それに合わせて、私も目を閉じる。その直後に、お互いの唇が重なった。

 触れるだけで離れていく唇を、追いかけるように瞼を開ける。

「物足りない?」

 そんなに恨めしそうな顔をしていたのかと、フルフルと首を横に振った。

「残念。俺は全然足りない」

 言い終わるや否や、再び口づけられる。
 唇を優しくはまれているうちに、だんだん心地よくなってくる。背中に添えられた手の温もりを感じらながら、無意識に彼を引き寄せるように前のめりになる。

 少しの息苦しさに口を開けると、それを待っていたかのように彼の舌が私の口内に入ってきた。

「んん」

 ゆっくりと、けれど余すことなく触れていく舌に翻弄される。奥に縮こまっていた私の舌は、しばらくして彼に優しく絡めとられた。
 彼のもう片方の手が、私の髪に差し込まれる。

 深く口づけられ、思考が曖昧になっていく。優しく髪を掴まれ、背中あった彼の手が体のラインをなぞり始めた。

 口づけを続けながら、ブラウスのボタンを上から順に外されていく。それから左肩をそっと脱がされると、柔らかな素材の服は同時に右肩もパサリと落ちた。

 下着があらわになり、恥ずかしくてたまらない。私が腕で胸もとを覆っている間に、彼はジャケットを脱ぎ捨てネクタイを外していく。

 その骨ばった手に、男性らしい喉もとに目を奪われる。声だけ聞いて満足していた頃とはまるで違い、近づきたい、触れたい、触れてほしいという思いが強くなった。
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