クールな総長は私だけにとびきり甘い
――ブォン。

 突然、バイクのエンジン音が背後から響いた。

 驚いて振り返ると、そこには真っ黒なバイクと、それにまたがった一人の男の子がいた。黒のライダースジャケット。無造作に流れた髪。ピアス。鋭い目つき。

 一瞬で、空気が変わった。

「お前……それ、拾ったのか?」

 低く、落ち着いた声が降ってくる。

「あ、えっと……はい。というか、見つけて……どうしていいか、分からなくて……」

 男の子はバイクから降りて、ことはの隣にしゃがみ込んだ。思ったよりも距離が近くて、息が詰まりそうになる。



「この猫、たぶんこの辺にいるやつだ。雨降ってきてたから、隠れてたんだな」

「……そうなんですか?」

「ああ。俺、何度か見たことある。ってか、エサやってたし」
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