クールな総長は私だけにとびきり甘い
「同じ制服だしな。……へぇ、俺のこと、知ってるのに逃げないんだ」


「え、逃げるって……?」

「みんな逃げるよ。顔見ただけで。お前みたいなやつは、特にな」

「わ、私、ただ猫が心配で……」

 ことはの声は自然と小さくなる。でも、蓮はふっと笑った。

「……悪ぃ。脅すつもりはなかった」

 その笑みが、不意に柔らかくて、ことはは思わず見とれてしまった。

「名前、なんて言うの?」

「……桜井ことは、です」

「ふーん。ことは、ね」

 蓮はその名前を、何度か噛みしめるように繰り返した。
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