クールな総長は私だけにとびきり甘い
倉庫の重い扉がゆっくりと開く。

そこから一列に現れたのは、岩城翔太、佐伯大輔、藤堂陽介、そして村上拓海の幹部4人。

いつもなら笑い声や冗談が飛び交う場所なのに、今の倉庫はまるで別世界のように静まり返っていた。

彼らの視線はそれぞれ蓮、美咲、ことはのいる場所を行き来し、微妙な空気に戸惑いを隠せない。

翔太が少しだけ口を開きかけて、だが言葉に詰まる。

大輔は腕を組みながらじっと場の様子を観察し、藤堂は眉をひそめて険しい表情を浮かべている。

村上は目を細め、何かを言いたげに唇を動かすが、結局沈黙のまま。

足音がゆっくりと倉庫の床を鳴らし、誰もが重苦しい空気に飲まれていた。

ことはは美咲を見つめながらも、目をそらしがち。

美咲は堂々とした態度を崩さず、けれど明らかに警戒心を隠せていなかった。

蓮はぐったりと横たわりながらも、その瞳に不安が浮かんでいる。

やがて藤堂が、静かに、しかし確かな重みのある声で口を開いた。

「……何があったんだ?」

その問いに、倉庫の空気が一層張り詰める。

誰も即答せず、ただ時間だけがゆっくりと流れていった。

翔太が小さく息を吐き、言葉を探す。

「こんなところで、こんな顔合わせは見たくなかったな」

佐伯は深く頷き、陽介は静かに拳を握りしめた。

村上は視線を落としながら、やがて口を開いた。

「蓮、お前がしっかりしないと、みんな困るんだぞ」

その言葉に、蓮はかすかに目を開けて応えた。

「……悪い、みんな」

沈黙の中で、それぞれの思いが交錯し、倉庫の空気は凍りついたままだった。
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