クールな総長は私だけにとびきり甘い
蓮が小さく囁くように言いながら、ゆっくりと手を伸ばす。驚くほど優しい仕草だった。猫は少しだけ身を引いたが、やがて力を抜き、蓮の手に触れた。

「……すごい。懐いた」

「別に。慣れてるだけ」

「慣れてる……?」

 ことはが聞き返すと、蓮は猫を抱き上げながら言った。

「家で何匹か、世話してんだ。捨て猫とか、怪我したやつとか……」

 思わぬ告白に、ことはは言葉を失った。

 怖い人だと、誰かが言っていた。

 近づくなと、何人もが口にしていた。


 でも、今目の前にいる蓮は、怯える猫をそっと抱いて、静かに撫でている。

「……優しいんだね」

 ことはが思わず呟くと、蓮はほんの一瞬だけ、顔をしかめた。

「優しくなんかねぇよ」

 でもその声に、どこか寂しさが混じっていることに、ことはは気づいた。
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