クールな総長は私だけにとびきり甘い
ことはは、小さく笑った。

「でも、猫はあなたに懐いてるよ。……ちゃんとわかるんだね、そういうの」

 蓮は返事をしなかった。けれど、腕の中の猫を一度抱き直してから、ふっと息を吐くように言った。

「……捨てられたもん同士だからな」

 その言葉に、ことははハッとした。

 けれど、蓮はそれ以上なにも言わず、猫の耳をそっと撫でていた。

 何かを遮るように、何かから目を逸らすように。

「……猫、病院連れてったほうがいいよ。後ろ足、少しひきずってた」
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