クールな総長は私だけにとびきり甘い
蓮の声に、ことははうなずいた。

「うん。近くの動物病院なら、知ってるところがあるから……私、連れていく」

 蓮はことはをじっと見た。

「一人で行けるのか?」

「大丈夫。たまに、野良猫の保護とかやってるの。うち、母が動物好きで……」

「……ふーん」

 蓮はそれだけ言って、猫をことはの腕へとそっと渡した。

 その手つきは、まるで何か大切なものを手渡すみたいに、慎重だった。
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