さくらびと。美桜 番外編(2)
舞台当日。




緊張した面持ちで袖に控える美桜に声をかける。





「大丈夫だよ」





彼女は小さく頷くと深呼吸をした。




幕が開く。




笛の音とともに美桜が躍動的に動き始める。





しなやかで力強い舞は観客を魅了し、終わる頃には盛大な拍手が鳴り響いた。





「お疲れさま」






楽屋で待っていると汗だくの美桜が入ってきて裕紀に抱きついてきた。





「やった……!ちゃんとできたよ!」






その体温を感じながら、僕は胸の内で確信した。





彼女はもう大丈夫だと。そして僕たちはきっと大丈夫なんだと。






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