さくらびと。美桜 番外編(2)




秋の深まりとともに美桜の心の傷も少しずつ癒えていった。




相変わらず彼女はお転婆で突拍子もないことを言い出すけれど、そこには以前のような無理な明るさはない。





「ねえ、裕紀!この紅葉のトンネル凄くない!?」





公園でスマホを掲げる彼女の隣で一緒に写真を撮る。





赤や黄色に染まった葉が風に舞い踊る中、美桜の笑顔は燦々と輝いていた。





「これからさ……もっと色々なところに行こうね」






そう言った彼女の目には涙が浮かんでいた。





「お父さんと一緒に見たかった景色……でも今は裕紀がいてくれるから大丈夫。」






僕は静かに頷いた。





その言葉がどれほど重いかわかっていたから。





そして同時に確信したことがある。この先どんな困難があっても、僕たちは必ず乗り越えていけるだろうと。








「そうだね。これからたくさん思い出を作ろう。二人で」







そう言って手を差し出すと、美桜は嬉しそうに握り返してくれた。





その瞬間、僕たちの未来が桜色に染まっていくような気がした。




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