さくらびと。美桜 番外編(2)
医学生の忙しさにも慣れてきた冬の終わりのある日、裕紀は決心した。
もう彼女と出会ってから一年以上が過ぎていた。
美桜の傷も少しずつ癒えてきたように見えた。
いや、彼女は自分の力で立ち上がり、前を向いて歩き始めていた。
「美桜、話があるんだ。」
卒業論文に追われている美桜をゆっくりと連れ出し、高台の公園に向かった。
まだ寒い季節だが、遠くに見える桜の枝には小さな蕾が見えていた。
「どうしたの?改まって」