さくらびと。美桜 番外編(2)
「知ってるよ」
その言葉に美桜は顔を上げた。
裕紀の表情に怒りも憐れみもなく、ただ静かな理解だけがある。
「君がどれだけ悔しいか、どれだけ怖いか……」
裕紀の指が彼女の濡れた頬を拭う。
「僕が、全部受け止める」
「うそよ……」
美桜は震える唇で否定する。
「こんなの耐えられるわけ……」
「耐えてるよ」
裕紀はきっぱりと言った。
「でも僕たちは…、耐えるためじゃなく生きるためにここにいるんだ」