さくらびと。美桜 番外編(2)
彼は立ち上がり、美桜の手を取ってデッキチェアから引き起こした。





そのまま海岸へと導く。





打ち寄せる波際で二人は立ち尽くした。







「美桜」







裕紀が彼女の肩を包み込むように抱き寄せた。







「君が見せてくれた笑顔ひとつひとつが……今の僕を支えてる。」







美桜の嗚咽がゆっくりと収まっていく。







裕紀のTシャツを握りしめる彼女の手に力がこもる。







「明日はダイヤモンドヘッドに行こう」






裕紀は彼女の頭を軽く抱いた。







「午後にはカイルアビーチでサンセットを見よう。明後日は……」








「……うん」





美桜の鼻声が潮の匂いに紛れる。








「行きたい……全部。裕紀と一緒ならどこだっていい。」








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