さくらびと。美桜 番外編(2)
星空の下で二人の影がひとつになった。






遠くでウミガメが水面を割る音がした。





波は容赦なく押し寄せている。





だが二人の足元では、確かに愛という名の岩が立っていた。








裕紀はそっと美桜の耳元で囁いた。







「美桜…




ずっと、愛してる。」








月明かりが彼女の睫毛に宿る涙を銀色に輝かせていた。











美桜はただ黙って裕紀の胸に顔を預け、その温もりを確かめている。







砂浜に残された小さな足跡が、やがて次の波に飲み込まれていった。







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