さくらびと。美桜 番外編(2)
「見て」






彼女の指差す方向を見上げると、ライトアップされた桜の木が浮かび上がるように佇んでいた。




昼間とは違う幻想的な美しさに息を呑む。








「春って、終わりの季節って言われるけど……でも新しい始まりもあるよね」







そう言って美桜が振り向いたとき、彼女の黒髪に一片の桜の花弁が乗っていた。







それをそっと摘み取ろうとした瞬間、彼女の瞳に映る自分の姿を見つけた。









< 5 / 97 >

この作品をシェア

pagetop