さくらびと。美桜 番外編(2)
裕紀はナースコールに手を伸ばしかけたが、美桜が首を横に振って制する。
唐突な告白に裕紀の喉が詰まる。
そんなことは何度も思ったはずなのに。
「裕紀が将来、手術着姿で颯爽と歩くところとか……手術中に真剣な顔でメスを持つところとか……想像するだけでワクワクしてた」
美桜の声には憧れが滲んでいた。裕紀はただ黙って聞き手となる。
「きっと、かっこいいんだろうね。」
その純粋な賞賛が胸を刺す。
自分が医学生になったのも、外科を目指しているのも全て彼女が「素敵」と言ってくれたからなのに。