さくらびと。美桜 番外編(2)
「みんなに尊敬されて……特に看護師さんたちにはモテモテかもね」




弱々しく笑う美桜の瞳には複雑な感情が揺れていた。





諦めと嫉妬と、ほんの少しの羨望。





「ちょっと妬いちゃうな……」





最後の一言はほとんど吐息だった。





裕紀は何も言えず、ただ彼女の痩せた手を両手で包み込んだ。






筋肉が落ちた手首の骨が手のひらに当たる。






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