さくらびと。美桜 番外編(2)
一週間後ーーー。
東京行きの新幹線のホームで裕紀はスマートフォンを取り出した。
画面には桜並木の写真—美桜が最後に見た風景だ。
「美桜、行ってくる。」
呟きに答えるように春風が頬を撫でた。
それは美桜の優しい指先を思わせる感触だった。
左手の薬指には、まだキラキラと光る指輪がはまっている。
荷物の中には美桜の古いノートもある。
そこには彼女が裕紀に送ろうとしていたレシピやメモ書きが残されていた。
料理下手だった彼女なりの愛情表現だ。
列車が到着しドアが開く。
乗り込む前に裕紀はもう一度振り返った。
夕日に染まる病棟の屋上で、一枚の桜の花びらが風に乗って舞っている。
まるで美桜が自分を見送ってくれているようだった。
「また、春になったら。」
呟きとともに車内へ。
走り出す列車は、東京へ
向かっていった。
東京行きの新幹線のホームで裕紀はスマートフォンを取り出した。
画面には桜並木の写真—美桜が最後に見た風景だ。
「美桜、行ってくる。」
呟きに答えるように春風が頬を撫でた。
それは美桜の優しい指先を思わせる感触だった。
左手の薬指には、まだキラキラと光る指輪がはまっている。
荷物の中には美桜の古いノートもある。
そこには彼女が裕紀に送ろうとしていたレシピやメモ書きが残されていた。
料理下手だった彼女なりの愛情表現だ。
列車が到着しドアが開く。
乗り込む前に裕紀はもう一度振り返った。
夕日に染まる病棟の屋上で、一枚の桜の花びらが風に乗って舞っている。
まるで美桜が自分を見送ってくれているようだった。
「また、春になったら。」
呟きとともに車内へ。
走り出す列車は、東京へ
向かっていった。