ぜんぶ、ちょうだい。
「小鞠ちゃんなら……かおのこと、任せられるかも」
「……え?」
思わず、間の抜けた声が出る。
水元先輩は眉を下げて、はぁっと大きくため息をついた。
腰に手を当てて、少し照れたように続ける。
「いやさ。私と別れてから、かおのこと狙う女子、多いんだけど」
……ですよね。
「どいつもこいつも、顔しか見てないの。そんな子が私の“次”っていうのも嫌だし。なにより、私はかおに幸せになってほしいんだよ。私の都合で別れることになったのにさ。かお、文句ひとつ言わないで、私のモデルになる夢、応援してくれて。未練っていうか、後悔は少なからず残ってるけどさ。今の私は、自分のことでいっぱいいっぱい。
正直、恋愛とかしてる暇ないの」
そして、水元先輩は私の両手を、ぎゅっと包んだ。
「それにね」
目が、きらきらしてる。
「かおには、私みたいな女よりも、小鞠ちゃんみたいな、純粋で素直な子のほうが合ってると思うし!」
そ、それはどうなんだ…?