ぜんぶ、ちょうだい。
青空の下、真正面から見た泉先輩の顔は、ひどく怒っていた。
「先輩、ごめんなさ―!?」
謝ろうとした口を、先輩の手で塞がれる。
「行くよ」
そう言って、なぜか私の手を、昨日みたいにぎゅっと握りしめた。
司会の人が、「おっと、これはどういうことだー!?」なんて声を上げる。
泣いている女子や、冷やかす男子たちの視線を横目に、私はただ泉先輩にされるがまま。
ステージから降りて、人気のない場所へ連れていかれる。
周りの喧騒も、声も、全部遠くなっていく。
「ねえ、さっきの、どういう意味?」
校舎裏。
背中には壁があって、逃げられない。
私を見下ろす先輩の顔、直視できなくて――
「どういう意味もなにも、そのままですが」
可愛くない言い方。
そっぽを向いてしまい、胸がギュッとなる。
お願い、許してくださいよ、先輩。
「吉川、こっち見て」
「…無理です」
「おねがい」
ずるい――。
先輩の声には、甘さも優しさも混じってて。
ゆっくりと、顔を前に向ける。