ぜんぶ、ちょうだい。
全部言い切ってから、ハッと我に返る。
はあ、はあ――肩で息をしながら、周りを見渡す。
けど、本人が聞いてるかなんて、わからないまま。
目の前にいるのは、関係のない人たちばかりで、ぽかんと驚いた顔をしてる。
なんてことをしたんだろう。
そう思ったときには、もう遅くて。
「…い、以上です」
そう言って、司会の人にマイクを渡す。
その瞬間、ステージにあがる階段の向こうから、声が聞こえた。
「なにしてんの?ほんと」
泉先輩――無表情で、だるそうで、いやな顔をしてる。
思わずたじろいでしまう。
逃げたいのに、どこを見ても人がいっぱいで、逃げられない。
かおだ、泉先輩だ、と周りから、たくさん声が聞こえてくる。
それを聞いた泉先輩は、イラついていて――
また迷惑なことをしてしまったんだって、胸がズキッと痛む。
先輩、こういうの嫌ですよね。知ってます。
「こんなところで言われんの、すごく嫌」
「…っ、」
一歩、また一歩。
先輩は私に近づいてくる。