ぜんぶ、ちょうだい。
全部話し終わる頃には、ひまちゃんの表情が、くるくる変わっていた。
怒ってるみたいで、困ってるみたいで、でもちょっと悲しそうで、最後には、なんとも言えない顔。
「うーん……」
ひまちゃんは、ストローをくわえたまま首をかしげた。
さっきまでの勢いが少し落ち着いて、珍しく考えてる顔。
「私には、正直よくわからないんだけどさ」
そこで一拍置いてから、ひまちゃんはさらっと、とんでもないことを言う。
「泉先輩のそれって、こまちゃんのこと、好きなんじゃないの?」
――ドキッ。
心臓が、分かりやすく跳ねた。
一瞬だけ、期待みたいなものが胸の奥でぴょんって跳ねて、でもすぐに、現実が追いかけてくる。
「……。」
私は何も言えなくなって、そのまま、ため息と一緒に机に突っ伏した。
「……どうなんだろうね。……わっかんないなぁ~」
頬が机にぺたっとくっつく。
冷たい。
「まあ、なんせ私たち、恋愛経験、ないからね~」
ひまちゃんは妙に明るく言って、ちゅーっと、最後の一滴まで吸い上げる音。
イチゴオレの紙パックが、見るからにへこんでいく。
……ああ。
泉先輩、こんな甘いの、絶対飲めないだろうな。
無意識に、くしゃっと潰れていく紙パックを見つめながら、そんなことを考えてしまう自分に、ちょっとだけ苦笑する。