ぜんぶ、ちょうだい。

*

*

*



「吉川さ~ん?」



昼休み。
お腹すいたなー、早くごはん食べたいな~、なんて考えながらお手洗いを済ませて教室へ向かう私の背後から、やけに甘ったるい声が降ってきた。



「かおと、付き合ってるんだって?」



振り返るより先に、嫌な予感が確信に変わる。



「2年のくせに、生意気~」



……あ、これ。
完全に、アレだ。


気づいたときには、私は校舎裏にいた。
私の貴重なお昼ごはんタイムは、どうやらここで消費されるらしい。

背中には、逃げ場のない壁。
目の前には、知らない先輩が三人。


「かおに彼女はさぁ」



腕を組んだ先輩が、ため息まじりに言う。



「澄海レベルじゃないと、許せないんだけど」

「それな~」



すぐ隣の先輩が笑って、



「こいつ、っていうかさ」



ちらっと私を指差す。



「こいつを選んだ、かおにショックだわ~」

「私、1年のときから好きだったのに」



……おお。
これが、ひまちゃんの言ってた「呼び出されてリンチにあうやつ」ってやつですか。

なぜか、ちょっと感心してしまう自分がいる。


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