ぜんぶ、ちょうだい。



先輩たちの気持ちは、分かる。
好きな人に、急に彼女ができたなんて噂、信じたくないし、耐えられないよね。

でもね。

別に、別にさ。

私が何を言われる分には、ぜんっぜん耐えられる。
泉先輩と付き合うなら、こういうことが起きるのも、正直、覚悟はしてた。

……だけど。



「……泉先輩のことまで、悪く言うのは違うんじゃないですか?」



気づいたら、口が勝手に動いていた。



「は?」



空気が、ぴしっと固まる。

でも、止まれなかった。



「泉先輩に、悪いところなんて、ひとつもないですっ!そりゃ、確かに?思わせぶりっていうか?勘違いさせるような発言も、されましたけどっ?でもっ!文句を言うのは、私だけが許されてるのであって!先輩たちには!泉先輩のこと、悪く言う権利はありません!!」



……言った。
言い切った。

先輩たちは、揃ってぽかんと口を開けている。

なに?
なにか、おかしい?

でも、だって。

私だって!!



「私だって~!!」



気づいたら、叫んでた。



「1年のときの先輩、見たかった~っ……!!」



それに、好きなんて!一言も、言われてないしっ!第一!私の気持ちに、追いついてないとかっ!どういうつもりなんですか、先輩っ!!


校舎裏に、変な沈黙が落ちる。

はあ、はあ、と息をして、私はようやく、自分が何をしたのか理解した。


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