ぜんぶ、ちょうだい。
「それで?って……やっぱり、かっこいいな~って」
そう言って、ちらっと、隣にいる泉先輩を見上げた。
すると。
泉先輩が、ふっと真顔になって、私の目をまっすぐに見てきた。
次の瞬間、私に身長を合わせるみたいに、すっとかがむ。
「それだけ?」
……っ。
ち、近い。
近すぎる。
息がかかりそうな距離で、視線が絡んで、逃げ場がない。
ドクドク、ドクドク。
心臓の音が、死にそうなくらい早くて、うるさくて、たぶん、先輩にも聞こえてるんじゃないかって思うくらい。
……先輩には、たぶん、全部ばれてる気がする。
「……わ、私も、されたいなって……」
声が、情けないくらい小さくなる。
「羨ましいなって……先輩は、今……私の、なのに……」
彼女になれたからって。
それだけで、先輩が私のことを好きだって、思っていいわけじゃない。
きっと、先輩は優しいだけで、私に付き合って「くれてる」だけで。
昨日の、
――幸せにしてもらいたい、
だって。
あれも、きっと、その場しのぎで言っただけ。