ぜんぶ、ちょうだい。
過去なんて、変えることはできない。どうしようもないことだって、ちゃんと分かってる。
私の知らない先輩がいて。それを知れて嬉しいって、思わなきゃいけないのに。
……なのに。
どうしても、嫉妬してしまった。
そんな自分が、恥ずかしくて。
これ以上、面倒くさいって思われたくなくて。
私は、ぎゅっと唇を噛んで、うつむいた。
床ばかり見て、先輩の顔を見ないようにして。
先輩から、なにを言われるのか。それを想像するだけで、心臓がきゅっと縮む。
「吉川」
名前を呼ばれただけなのに、胸がびくっと跳ねた。
「……っ、ごめんなさい、やきもち焼いちゃって!でも、ちょっとですからっ!」
そう言って、パッと顔をあげた。
……のに。
目に入った泉先輩の表情に、言葉を失う。
眉間に、うっすら皺。
口元も、なんだか少しだけ、むっとしている。
え。
な、なんで??
「ちょっとなんだ?」
「へ?」
意味がわからなくて、間の抜けた声が出る。