ぜんぶ、ちょうだい。



うーん……。

ないな。
ないない。

だって泉先輩、そもそもイベントごとに興味なさそうだし。
誕生日とか記念日とか、そういうの、一番どうでもいいタイプだと思う。

それに、私の誕生日なんて、なおさら。
……実際、私自身も、自分の誕生日をそこまで大事にしてないし。



「うーん……」



少し悩んで、
でも、ふっと思う。

一緒に帰るくらいなら。
それくらいなら、甘えてもいいかな、って。

もちろん、断られるかもしれないけど。
忙しいから、今日は無理、って言われるかもしれないけど。

それでも。



「……一緒に帰るくらい、なら」



小さく呟いた、そのあとで。



「そもそも……連絡先すら、知らないんだよなぁ」



我ながら情けなくなる。



「よくそんなんで彼女やってるね?」



ひまちゃんの、容赦ない一言。

……ひまちゃん。
それは言わないお約束。


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