ぜんぶ、ちょうだい。

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たぶん。
本当に、ただの勘。

今日の昼休みは、泉先輩、食堂にいる気がする――
そんな根拠のない予感だけを頼りに、私はひまちゃんと一緒に食堂へ向かった。

当たるかどうかなんて、わからないのに。
なのに、胸の奥がそわそわして、落ち着かない。

なぜか、足取りまでこそこそしてしまって。



「こまちゃん、なんか変な人みたいだよ?」



ひまちゃんにそう言われて、はっとして背筋を伸ばす。


……だって、仕方ないじゃん。


泉先輩と付き合ってからというもの、たまーに、校舎裏とか。
人気のない場所に呼び出されては、なぜか泉先輩への“愛”を、彼女である私が延々と聞かされる羽目になったり。

聞こえるか聞こえないか、ぎりぎりの声で、影口を叩かれることだって、たまにある。


今だって。
視線を感じるたびに、つい肩が強張ってしまう。

……なんだか、見られてる気がする。

世界中の女子が、一斉に敵になったみたいな感覚。


泉先輩には、「何かあったら、絶対言って」って言われてるけど、でも、いざとなると、やっぱり気が引けてしまって。呼び出されても言えないままである。


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