溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
同窓会
「そういえば、今度高校の同窓会があるらしいな」
仕事終わり。
車の中で何気なく振られた話題に、思わず首を傾げる。視線をあげれば、バックミラー越しに目が合った。
「同窓会?」
「クラス長が言い出したみたいだ。まあ、しばらく会ってなかったからな」
タイミングよく、マンションの駐車場に車を止める。シートベルトを外してから振り返ると、智弘はスマホを操作していた。
「メッセージが来てたぞ。ほら」
そんな言葉と共にスマホを見せられる。
そこには、久々にみんなで集まろうと言った旨のメッセージが表示されていた。
「えー…見てない。社用のスマホは起きて、すぐに確認してるんだけどね」
「職業病め」
そんな言葉を聞き流しながら、私用のスマホを確認する。本当だ。気づかなかった。
「行くか?」
「んー…どうしよう。智弘は行くの?」
「美咲に合わせようかなって。ほら、日程的には一緒に空けられるだろう?」
確かにその通りだ。個人的には行きたい気持ちもあるが、、
「仕事のことは考えなくていい。会いたい友人もいるんじゃないか?」
その言葉に、高校時代の親友の顔が浮かぶ。彼女とは同じ大学に進んだが、社会人になれば自然と疎遠になっていた。
それを寂しく思っていたことは嘘ではない。
「…うん」
「なら行こう。たまには気晴らしも大切だ」
続々と参加の可否に関するメッセージが送られる中、私たちの参加を示すメッセージも追加されたのだった。