溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い

出会いから今に至るまで

　私たちは、高校で出会った。
　たまたま隣の席だったのが始まりだったと思う。

　気が合って、趣味が合って、お互いに気楽だった。

　その時は、智弘が御曹司だなんて知らなかった。そもそも私は、そういったことに興味がない節があったから、余計に疎かったのもあると思う。

　
　ある日、智弘が告白されるところに偶然にも遭遇してしまった。
　気まずさもあった中、智弘は何を思ったのか「美咲のことが好きだからごめん」と、告白してくれた女子生徒に言い放ったのだ。言い訳にしてももっとあると思ったのだが、どうやら本気だったらしい。


　その後、すぐに告白された。

　最初こそ断ろうと思ったけれど、智弘が振った女子の顔が浮かんで仕方なかった。

（今断ったら、あの子の思いが浮かばれない…）

　あんな失恋、トラウマ級だろう。そう思ったら頷くしかなかった。


　その時の私は、智弘がどんな思いで私に告白してくれたのかなんて、微塵も考える余裕がなかった。