溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
私も便乗して頼み、再び話が戻る。
「今さ、智弘の秘書やってるの」
「え、すご!」
「ありがと。…でさ、仕事の一環でパーティーに出る機会も、そこそこあるのね」
「うん」
「……キラキラしたパーティーとか見るとさ、『遠い世界だな』とか『息苦しいな』とか思っちゃうの」
お兄さんの威勢のいい声と共に運ばれてきたハイボールを煽る。冷たさが心地いい。
元気のいい乾杯の声に、鳴るジョッキ。
それに懐かしさを感じてしまって、どうしようもない。
前までは、これが当たり前だったはず。
「…で、毎回『この中の誰かと結婚すればいいのに』って思う。智弘はどのパーティでも常に人気があるし、引く手数多なんだよね」
「それは、秘書として思うの?」
「……秘書としても、良き友人としても。得られる幸せは最大限まで得て欲しいし、曲がり間違っても、私がその幸せを壊すようなことはしたくない」
真剣な顔をしている凛に、曖昧に笑ってしまう。
親友相手に何を話しているのだろう。振られた話題と言えど、場違いにも程がある。
「せっかくの同窓会なのに、こんな暗い話してごめん」
「みさき、」
「んー!!!やっぱり居酒屋の方が私には合ってる!タブレット注文!枝豆!最高だね!」
お酒を煽りながら「あははっ」なんて笑うも、凛は笑わない。ただただ真剣な目で見つめてくる。その目からは逃げられない。