溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
「なんか、こういうデート初めてだね」
高級ディナーやプライベートビーチなど。今まで沢山の場所でデートをしてきたが、今日のようなデートは初めてだ。言葉を選ばずに言えば、庶民的なデート。同窓会で介助してもらったお返しという体ではあるが、智弘と水族館に来ることができて、どうしようもなく嬉しかった。
「…美咲は、」
『お知らせします。まもなく、屋外エリアにてイルカショーが始まります』
智弘が何かを言いかけた時、被せるように館内にアナウンスが響いた。時間を確認すると、ちょうど午前のショーの10分前だった。
「イルカショーか。美咲さえ良ければぜひ観に行きたいんだが、どうだ?」
「え、うん。私も観に行きたいけれど…」
「良かった。じゃあ行こう」
さり気なく手を取られ、エスコートされる。いつの間にか絡められた指に、わずかに力が込められた。
「……何か言いかけてなかった?」
「美咲の笑顔が可愛かったから、それを伝えたかっただけだ」
恥ずかしげもなく伝えられる言葉。
智弘のことだ。嘘ではないのだと思う。
(でも、言いかけたのはソレじゃないよね…?)
一緒に居る時間が長かったからか、何となく分かってしまう。それに、あの表情は愛を伝える時のものではなかった。
「やっぱり平日だと空いているな。どの辺りに座りたい?」
屋外に出ると共に、爽やかに笑う智弘。その表情には一点の曇りもない。
彼が隠したいと思うのならば、それを尊重するだけのこと。強気にではいけない話題だと、勘が働いた。
だから、これ以上の質問はしなかった。
「前の方は水がかかりそうだから、真ん中らへんがいいな」
私の言葉に彼は頷き、空いている席にゆっくりと向かった。
高級ディナーやプライベートビーチなど。今まで沢山の場所でデートをしてきたが、今日のようなデートは初めてだ。言葉を選ばずに言えば、庶民的なデート。同窓会で介助してもらったお返しという体ではあるが、智弘と水族館に来ることができて、どうしようもなく嬉しかった。
「…美咲は、」
『お知らせします。まもなく、屋外エリアにてイルカショーが始まります』
智弘が何かを言いかけた時、被せるように館内にアナウンスが響いた。時間を確認すると、ちょうど午前のショーの10分前だった。
「イルカショーか。美咲さえ良ければぜひ観に行きたいんだが、どうだ?」
「え、うん。私も観に行きたいけれど…」
「良かった。じゃあ行こう」
さり気なく手を取られ、エスコートされる。いつの間にか絡められた指に、わずかに力が込められた。
「……何か言いかけてなかった?」
「美咲の笑顔が可愛かったから、それを伝えたかっただけだ」
恥ずかしげもなく伝えられる言葉。
智弘のことだ。嘘ではないのだと思う。
(でも、言いかけたのはソレじゃないよね…?)
一緒に居る時間が長かったからか、何となく分かってしまう。それに、あの表情は愛を伝える時のものではなかった。
「やっぱり平日だと空いているな。どの辺りに座りたい?」
屋外に出ると共に、爽やかに笑う智弘。その表情には一点の曇りもない。
彼が隠したいと思うのならば、それを尊重するだけのこと。強気にではいけない話題だと、勘が働いた。
だから、これ以上の質問はしなかった。
「前の方は水がかかりそうだから、真ん中らへんがいいな」
私の言葉に彼は頷き、空いている席にゆっくりと向かった。