溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
苦しさを感じつつ、何とか言葉を紡ぐ。意味を間違えないように、正しく伝わるように気を付けながら言葉を選ぶ。
「自分の気持ちなんて、考えたことない」
「『なんて』じゃない」
智弘は私の両手をとると、存在を確かめるかのように優しく包み込んだ。
「俺は美咲の気持ちをもっと知りたい。俺に対してどう思っているのかも、俺たちの関係についてどう思っているのかも、全て聞きたいぐらいだ」
「それって、」
「どうして『別れたい』と言ったのか。俺は理由をまだ聞いていない」
真剣な目にドキリと胸が鳴る。でもそれは、決して甘い鼓動ではない。
「それは、家系が違いすぎるからだよ」
「家系なんてどうでもいい。それよりも、美咲自身の気持ちを知りたい」
「……」
「美咲、教えてくれ」
ああ、いよいよか。でも、これでも耐えた方だ。
ジワリと視界が滲んだ。でもそれを悟られたくなくて、ゆっくりと目を閉じた。幸いにも、頬を伝うものは無かった。
「智弘の邪魔になりたくない」
目を開け、彼に握られたままの手を見つめる。必要以上の言葉を、彼にぶつけないように気をつけながら。
「好きだよ。智弘のことはずっと好き。でもさ、私たちは暮らしてきた世界が違うし、これから暮らしていく世界も違うでしょ?…純愛だけではやっていけないの。それは、智弘だって分かってると思う」
「そんなの、」
「関係あるよ。これから智弘の世界は、どんどん変わっていく。そして、きっといつか私の存在が邪魔になる」
静まり返る空間。視線をどこに向けるべき変わらなくなった時、ふと、視界の端で美しい海月が悠然と水中を漂っていることに気が付いた。
「自分の気持ちなんて、考えたことない」
「『なんて』じゃない」
智弘は私の両手をとると、存在を確かめるかのように優しく包み込んだ。
「俺は美咲の気持ちをもっと知りたい。俺に対してどう思っているのかも、俺たちの関係についてどう思っているのかも、全て聞きたいぐらいだ」
「それって、」
「どうして『別れたい』と言ったのか。俺は理由をまだ聞いていない」
真剣な目にドキリと胸が鳴る。でもそれは、決して甘い鼓動ではない。
「それは、家系が違いすぎるからだよ」
「家系なんてどうでもいい。それよりも、美咲自身の気持ちを知りたい」
「……」
「美咲、教えてくれ」
ああ、いよいよか。でも、これでも耐えた方だ。
ジワリと視界が滲んだ。でもそれを悟られたくなくて、ゆっくりと目を閉じた。幸いにも、頬を伝うものは無かった。
「智弘の邪魔になりたくない」
目を開け、彼に握られたままの手を見つめる。必要以上の言葉を、彼にぶつけないように気をつけながら。
「好きだよ。智弘のことはずっと好き。でもさ、私たちは暮らしてきた世界が違うし、これから暮らしていく世界も違うでしょ?…純愛だけではやっていけないの。それは、智弘だって分かってると思う」
「そんなの、」
「関係あるよ。これから智弘の世界は、どんどん変わっていく。そして、きっといつか私の存在が邪魔になる」
静まり返る空間。視線をどこに向けるべき変わらなくなった時、ふと、視界の端で美しい海月が悠然と水中を漂っていることに気が付いた。