溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
 まず向かった先は、昔からある大衆的な商店街。
 そこにある話題のコロッケ屋に並んだ。本来ならば1時間近く並ぶらしいが時間帯が良かったのか、休日であるにも関わらず10分程度で購入できた。近くのベンチに移動し、買ったばかりの熱々コロッケに齧りつく。

「うま…!」
「本当だ!美味しい~」

 口触りもサクサクで、味もいい。近くの人も、目を輝かせながら食べ進めている。向井君も例に漏れず、嬉しそうにコロッケを食べていた。
 あっという間に食べ終わり、2人で満足げに笑う。ベンチに座って何かを食べるなんて、高校生ぶりな気がした。

「満足感ヤバいっすね!」
「ね!いいお店教えてもらっちゃった。ありがとね」
「いえいえ!じゃあ早速ですが、次の場所に行きましょうか」

 今日のデートプランに関しては、向井君のお任せしている。私は彼の言葉に頷き、共にベンチから立ち上がった。
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