溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い

「あ」

 あるじゃん。
 智弘と一緒に楽しめて、私が難しいことを考えなくて済むもの。心配なのは明日の我が身だが、腹は背に変えられない。ついでに、今も胸にくすぶっている不安や孤独感が綺麗に解消されそう。

「ねぇねぇ、智弘。この後って何かする予定ある?」
「この後?いや、少し早いが寝ようと思っていた。美咲も今日まで気を張っていたし、疲れているだろう?」
「なんか一周回ってハイでさ」

 素直に伝えると、困ったように笑われた。
 
「じゃあ、眠たくなるまで映画でも観るか?」
「それも考えたんだけど、違うなって思ったの。だから、」

 一瞬だけ躊躇したが、すでに色々ぶちまけた後だしいいか、と自分の背を押す。
 できるだけ自然に、何でもないことのように、

「目一杯愛してほしいなって思ったんだけど…どうかな?」

 オブラートにオブラートを重ねたような言い方だが、何を指しているのか察したらしい。目を真ん丸にした智弘は、ピタリと動きを止めてしまった。
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