溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い

「あ、いや、もちろん智弘だって疲れてると思うから、無理にとは言わないよ?」
「……」
「その、寂しかったし、言葉で伝えてもらったけど、行動でも表してほしくなったというかさ……が、柄じゃ無いのは分かってるよ。でも、ご無沙汰だったじゃん…?」

 早口に言い訳のようなものを並べてしまう。
 毎回智弘から誘ってくれていたが、こんな気持ちだったのか。恥ずかしいし、拒否されたら絶対へこみそうだし…。こんなにも勇気のいることを率先してやってくれていたことに、今更ながら心の中で感謝していると、ようやく智弘は動き出した。しかし、彼の口から出てきた第一声は、

「あのな、難しいことを考えるなって言っただろう」
「はい?」
「お礼だとか、償いだとか……きっとその辺の考えに至ったんだろうが、俺はそんな気持ちに突き動かされる行為は求めていない」
 
 あー…なるほど。
 今の私の言葉は、罪悪感から出た言葉だと思われたらしい。まあ、以前の私なら間違いなくその類で打診しただろう。そして、自分が求めているような言い回しを、間違いなくするだろう。でも、今はもう違う。

「ううん、違うよ。私の本心。私が、智弘に愛されたいって思ったの」
「……撤回できないぞ」
「しないよ。…ほら、我が儘言って困らせるって言ったでしょ?」

 悪戯に笑ってやれば、 彼はゆらりと揺れた。その目には先ほどの優しさではなく、肌が焼かれんばかりの熱を孕ませていた。

「最初に言っておくが、加減できないからな。何を言われても止まれないと思う」
「あははっ、嬉しい。いいよ、でも痛いことはしないでね」

 そう付け加えると、当たり前だ、というように瞼にキスを落とされる。
 腕を伸ばせば、いとも容易く抱き上げられた。今日は沢山抱っこされるな、なんて思いながら、彼の首に腕を回すのだった。
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