溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
 ベッドに優しく下ろされ、そのまま押し倒される。私を見下ろす彼の目には、まだ若干心配の色が浮かんでいた。
 
 「…本当に大丈夫か?」

 その声は熱を帯びているのに、どこか不安を滲ませていた。私が先ほど彼に突きつけた我が儘が、彼の中でまだ受け止めきれていないように感じる。

「うん、大丈夫。むしろ、私の方が無理言ってない?」

 彼の頬に手を添えて指先で優しく撫でた。手の平に擦り寄られる様子が、何とも庇護欲を誘う。

「…我が儘言うんだろ?そんなに俺のことは気にするな」

 智弘はこちらを見ると、少しだけ目を細めた。まだ完全に納得したわけではなさそうだけど、私の言葉を信じようとしてくれているのが分かる。

「でも、このことに関しては無理して付き合ってほしくないの」
「本当に優しいな。本音を言えば、帰ってすぐにでもこうしたかったが、美咲が疲れていると思ったから落ち着いてからにしようと思ってたんだ」
「それって、」
「俺も同じ気持ちだってことだよ」

 彼の目に宿っていた心配の色が、一気に深い情熱の色へと変わる。その熱の籠もった視線にぞくぞくと背を駆けるものがあり、期待と緊張でいっぱいになった。慣れているはずなのに、何度も彼に抱かれているはずなのに、まるで初めてのような感覚に襲われる。
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