溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い

 部屋に着くと同時に、優しくベッドに降ろされる。
 この流れはまずい、と本能で察して逃げようとするも、

「美咲」

 低く名前を呼ばれてしまえば、動けなくなる。
 その目は、薄暗い部屋でもよく分かるほど熱を帯びていた。

「おいで」

 ずるいと思う。その声に、抗えないことを知ってるくせに。

 縋るように近づいてしまえば、抱きしめられて耳元で怪しげに笑われた。それから、ゆっくりと頭を撫でられる。

「…嫌いじゃないの」
「うん」

 思わず呟くと、瞼にキスを落とされた。

「大丈夫。分かってるから。だから、今は難しいこと考えずに、俺からの愛を受け取ってくれ」

 シーツの海に押し倒され、大きな手に縫い止められる。私に向けられる視線には、熱が渦巻いて仕方ない。

「俺も、もう遠慮しないから」

 不敵な笑いながら、そんな不穏なことを伝えられる。

 でも、もうそんな言葉の重さなんて考えられていられない。ただただ本能のままに、彼の名前を呼んだ。

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