キミの隣は俺の場所
 「えっと……迷惑だったら、ごめんね。私が、昨日のこと、勝手に……」


 楓は、立ち止まる。


 私はその背中に、ぶつかりそうになって足を止めた。


 彼は少しだけ振り返り、視線だけで私を見る。


 「……名前、覚えてねぇし。顔も、たぶん人違い」


 その声は冷たくて、無表情だったけど――


 ほんの一瞬だけ。


 
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