キミの隣は俺の場所
 
 「……ありがとう。助けてくれて、ほんとに」


 「……別に。ああいうの、見てらんねーだけ」


 それでも、チョコをわざわざ持ってたのは、きっと偶然なんかじゃない。


 彼の手からそれを受け取ると、心の中が少しだけ温かくなった気がした。


 楓は再び前を向き、金属扉に手をかける。


 「……戻るぞ」


 「うん」



 屋上の扉が閉まり、私たちの姿が校舎の中に消えた。



でも、心の中には、さっき見た青い空と、少しだけ笑った彼の顔が、ずっと残っていた。
< 24 / 80 >

この作品をシェア

pagetop