キミの隣は俺の場所
陽菜side

倉庫の扉が、きぃ……と鈍い音を立てて開いた。


 中に一歩足を踏み入れると、そこには想像していたよりずっと“整った”空間があった。


 無骨な鉄骨とコンクリートの中、数台のバイクがピカピカに整備されて並んでいて、


 奥にはソファや冷蔵庫、テレビまである。


 ただの倉庫じゃない。


 ここは――この人たちの“居場所”なんだ。







「おーい、楓〜。なんか女の子連れてきてんじゃん?」
 
軽い声に、びくっと肩を揺らす。


奥のソファから立ち上がったのは、ふわっとした金髪に優しげな目をした男の子だった。


制服の袖をまくって、ニコッと笑いながら近づいてくる。


 
「お客さん? それとも彼女さん?」


 


「ちげーよ。……迷ってた」


 


楓――


 

その名前に、少し驚いた。


学校では誰も、彼を“名前”で呼んでなかったから。
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