キミの隣は俺の場所
夜の街灯の下、楓は一人ベンチに腰掛けていた。


冷たい風が吹き抜ける中、彼の心は不思議と温かかった。


陽菜の笑顔、明るい声、ふとした仕草が頭をよぎる。

「なんで……あいつのことを考えてるんだ?」

普段ならすぐに押し込めるはずの気持ちが、今日は消えずに居座っていた。

過去の傷、閉ざした心。

でも、陽菜はその壁を少しずつ壊していった。

「お前だけは、特別だ」

その言葉が自然と口をついて出た。

静かな夜に、楓の胸の奥で何かが動き出す。

それは、これまで知らなかった感情だった。

「これが…好き、ってやつか?」

彼は小さく息を吐き、目を閉じた。

もう逃げられない気がした。

でも、それでもいい。

陽菜のことを、大切にしたいと思った。
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