推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
この人は、周りの奴らの視線に気づかないんだろうか。
お構いなしに俺にずっと話しかけて来る。俺が何も言わないのに一人でずっと喋っている。
「お前、なんかさエリートなんでしょ、スカウトなんでしょ。すごいよね。」
佑月さんがタコライスをもぐもぐする。
「エリートさんに、お前呼ばわりしていいと思てんのか。」
佑月さんの隣に、誰かが座ってきた。「あ、俺もハンバーグ弁当、一緒~♪」って俺の弁当を見る。
「いいだろ別にエリートはエリートでも俺の方が先輩なんだし。」
「うはは。そうやな、歴だけは立派に先輩やな。」その人――亮さんが、笑う。
この人たちは、俺といることが、怖くないのかな。
俺は、上手く笑えない。